ある日の休み時間。図書室で化石の図鑑を読んでいた2年生の男の子がいました。休み時間の終わりを知らせる予鈴が鳴ると、名残惜しそうに図鑑を閉じて、私と目が合うと言いました。
「いいなあ!大人は勉強しなくてもいいから!」
うーん、半分だけ正解かな。きっと彼から見ると、いつも図書室の本を好きなだけ読んでいる私は、勉強せずに、ずーっと遊んでいるだけの大人に見えるのかもしれない。
一応これでもお仕事しているんだよね。と思いつつ、図書室にいる大人が、なんだか楽しそうだな、と思ってくれているなら、それは嬉しいことだと思いました。
というのも、私が小学校の学校図書館で働き始めたときに決めた目標は、「学校図書館は、楽しいところだと思ってもらえるようにする。」というものでした。恥ずかしながら、スキルも経験もないので、そういうフワッとした目標しか立てられなかったのです。
そんな目標を掲げて働き始めて気づいたのは、ちょっと残念なことですが、学校によっては、図書室が、「お叱り部屋」や「反省部屋」になっているということ。そうなると「ちょっと図書室に行ってみようかな。」「図書室ってなんだか楽しい場所だな。」とはならないですよね。
学校である以上、ある程度は仕方ないとは言え、図書室をつまらない場所にしておくのは残念すぎます。どんな学校であっても、図書室は、できるだけ明るく、心穏やかでいられる場所に保つ、ということを今でも心掛けています。働き始めた頃になんとかひねり出した目標は、思いがけず、今でも大切な目標であり続けています。
今でも目標であり続けているということは、これが実現するのがなかなか難しいからでもあります。授業時間内に調べ学習を仕上げなくてはならないとき、公共性を学ばなければならないとき。楽しいだけでは、ダメなときがたくさんあります。
そんなときには、学校図書館とは?学校司書とは?ということを知るために本を読んだり、児童サービス論のテキストを改めて読み返しています。
そう、大人だって勉強してるのだ!
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